日本のアマン

Amandari - Accommodation, Suite pool view

ホテルジャーナリスト せきねきょうこ

アマンとの熱い関係

アマンとの初めての出会いは25年前、バリ島のアマンダリに始まった。周囲の伝統的な村の姿と何も違わぬ異国情緒の中で、アマンダリの放った‘地元感と洗練’の圧倒的なバランスに強く惹かれた。後に訪れたアマンジウォでも、世界遺産ボロブドゥール遺跡と共に歩むリゾート造りに圧倒された。以来、私の中でリゾートへの概念は一変した。豪華さに頼らない世界観は圧巻であると。アマンダリ開業25周年の祝賀行事の日、招かれた私はバリに飛んだ。長い夜、歓びを分かちあったスタッフや村人たちの笑顔が今も心に残る。

Amankora Paro Aman-i-Khas, India - Tiger

ヒマラヤ山麓の秘境ブータン王国では、2004年、初のアマンコラ・パロ開業前に訪れ、建築家ケリー・ヒルを紹介された。その数年後、完成した5軒のアマンコラを1週間でホッピングした感激の旅を忘れない。

米国のアマンガニでは雪上を彷徨うコヨーテに出逢い、インドのアマニカスではベンガル虎の水を飲む姿をカメラに捉えた。私のホテルジャーナリスト人生には、どれもこれも地域的な感動や冒険があり、その傍らにはいつもアマンの存在があったのだ。

Aman Tokyo

今、日本には未来に向かい進化するアマンが3軒ある。

モダニズムとダイナミズムを持ち合わせ、日本の伝統を繊細に鏤めた「アマン東京」には、他のホテルを追随させないものが幾つもある。たとえば、人が迷うほどのハンブルで小さなエントランス、圧倒的な高さの吹き抜け天井、クオリティの高い食事。だが自画自賛を声高に謳わず、淡々と我が道を貫く姿にエールを贈らずにはいられない。

 

 

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Aman Kyoto Dining

春のみごとな新緑、夏の爽快な森林浴、そして水墨画のシーンのように静謐な情景を魅せる冬の雪景色。「アマン京都」とゲストが綴る物語は、日本絵巻を紐解くように文化が薫り厳かである。

 

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伊勢志摩国立公園内、真珠の海が輝く高台に「アマネム」が佇む。

自然の豊かな地で、庭づくりをしていた植栽専門家の言葉が心に沁みた。「敷地内の移植は1千本以上、極小の苗木も軽く1万本、すべて地域に馴染む木々を選んだ。REFORESTへの道は長いが10年後、50年後に原風景が戻る」と。他に類を見ない温泉施設やスパの造りも同様、環境や自然の摂理に寄り添うリゾート造りは、創業以来の変わらぬアマンの真骨頂である。

 

 

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ケリー・ヒルが残したこれら日本のアマン3を、オマージュを込めていつかホッピングしよう。贔屓目と言われようと、私にはアマンの存在が愛おしく、遠い昔に出会って以来、ずっとアマンマジックが解けないままにいる。

- せきね きょうこ